【2024.10.07更新】MSX0 Stack用のアプリケーション(diskchanger)を追加
【2024.05.21更新】DiskExplorer、L3 Disk Explorerを追加
【2024.05.15更新】FAT16 Floppy Disk Maintenanceを追加
見つけ次第、随時追加します。
MSX0 Stackの登場で、フロッピーディスクのイメージ化(ディスクイメージ)のノウハウが再び脚光を浴びています。2024年現在の最新状況を絡めて、便利に使えるアプリをまとめています。
令和の時代を迎えた今でも私(nf_ban)みたいにフロッピーディスクを大量にかかえている人、他にもいらっしゃいませんか?最早いつ消えてもおかしくない、磁気メディアのフロッピーディスク。ディスクイメージは過去データのバックアップ手段の一つとしても有効です。
- ディスクイメージとは
- ディスクイメージを作成する前の注意点
- Webアプリケーション
- Windows用のアプリ
- マルチプラットフォーム
- MSXエミュレータ
- MSXの実機用
- MSX0 Stack用
- 番外編:なぜMSX向けのフォーマット(初期化)が必要なのか
- 番外編:ブランクのディスクイメージをどう用意するか
ディスクイメージとは
ディスクイメージとは、フロッピーディスクの記録内容をセクタ単位で吸い出して1ファイルに集積したデジタルデータです。
複数のデータを1ファイルへ集積するという視点においてはLZHやZip等のアーカイバに近い存在ですが、ディスクイメージは各種アーカイバのように「保存されたファイルを集積する」のではなく、フォーマット処理により分割されたセクタやクラスタといった「フロッピーディスクの構造そのものを集積する(結果的にDOSフォーマットとファイルの存在が再現される)」という違いがあります。
フロッピーディスクの構造について、詳しくは下のWebページが参考になります。
↓ こちらをクリック ↓ park12.wakwak.com
ディスクイメージは主にMSXの各種エミュレータの物理ストレージドライブを仮想的に再現する手段として用いられます。特に市販のゲームソフトはDOSフォーマットではないメーカー独自のフォーマットを採用されたケースも多く、DOSのファイルとして目に見えるようになってはいないがゲームに使用するデータは記録されているような状態を再現するにはディスクイメージによるストレージの再現が必要不可欠となっています。
MSX向けのディスクイメージは基本的に2DDフォーマットで、クラスタの使用・不使用を問わず全てのセクタを圧縮などの加工なしにそのまま吸い出した「ベタ形式(拡張子 .DSK, ファイル容量 737280バイト)」が採用されています。
「MSX0」で再び注目を浴びるディスクイメージ
最近のMSXエミュレータはローカルストレージの任意のディレクトリ・フォルダをエミュレータ側のAドライブとしてマウントできるため、開発・制作用途ではディスクイメージがさほど重要ではなくなりました。
2023年に発売が予定されているMSX0 Stackは本体ストレージにmicroSDカードを採用されていますが、MSX0 Stackで動作するMSXエミュレータ内のストレージは任意のディスクイメージファイルを「MSX上のAドライブ」にマウントして利用することになりますので、microSDに個々のファイルを入れてもエミュレータ側では認識されず、利用できません。
MSX0においてはエミュレータとPCとのファイルの交換はディスクイメージ経由で行う必要があるため、ディスクイメージの取り扱い方法を知っておく必要がありますね。
ディスクイメージを作成する前の注意点
久しぶりにフロッピーを使う貴方。念入りなカビ対策を!
長期間使用していないフロッピーディスクはカビに汚染されている可能性が非常に高いです。カビ対策されていないディスクをドライブへ使用することは絶対にお止めください。
具体的なカビの除去作業・手順は以下のツイートにぶら下がっているツリーが本当に参考になりますので、ぜひツイートをお読みになり、実践してみてください。
フロッピーディスクのお手入れがしやすくなるクリーニングキットというものも存在しています。
イメージ化の前はディスクにライトプロテクトをかけましょう
最近のWindowsはフロッピーディスクやUSBメモリなど外部ストレージをマウントするだけで「System Volume Information」と呼ばれるWindowsのシステムフォルダ(とデータ)を勝手に作成します。これはWindowsの「システムの復元ポイント」等に用いられるデータですが、MSX側にとっては不要なデータがWindows OSによって勝手に改竄されることと同義です。
この仕様については度々議論が起きており、その筋の界隈の頭痛のタネとなっています。System Volume Informationフォルダについて、詳しくは下のWebページが参考になります。
↓ こちらをクリック ↓ news.mynavi.jp
System Volume Informationフォルダは隠しフォルダであるため、マウントするたびになぜか容量がじわじわ減ってゆく原因にもなりますし、市販ゲームソフトによく見られる「MSX-DOS(MS-DOS互換)フォーマットでないメーカー独自のフォーマット」のフロッピーディスクではソフトウェアの動作と何ら関係のないデータをWindows OSが勝手に書き換える処理が働くことで本来のソフトウェアが起動できなくなる可能性があり、たいへん危険です。
フロッピーディスクドライブ(FDD)を含む外付けストレージに対してはUSBで接続したタイミングで作成されるため、マウント前にライトプロテクトをかけておけばフロッピーディスクのデータが勝手に書き換えられる心配がありません。
万がいち System Volume Informationフォルダが作成されてしまった場合は、コマンドプロンプトから削除することができます。
2HDのディスクを2DDとして使用していた貴方。穴を塞ぎましょう!
1990年代、MSXで利用できた2DDのフロッピーディスクが市場から姿を消し、2HDのディスクしか購入できなくなった時代がありました。MSXのFDDは本来2HDに非対応ですが、実機では2HDのディスクに2DDのフォーマットを行うことで2HD・2DDの区別なく2DDとしてアクセスが可能だったためにやむを得ずMSX向けに2HDのフロッピーディスクを購入する人が多発しました。
2HDのディスクは2DDのディスクと比較して、媒体を2HDとして認識させるための穴が一個追加されています。ライトプロテクトノッチではない反対側の穴が、それです。ですが、ここに問題が生じます。MSXのFDDは2HDの穴を一切検知しないのです。磁性体上は2HDなのにフォーマットが2DDのディスクはMSX以外の環境ではアクセスできません。
そういった「2HDの穴が空いているが実態は2DDのディスク」をWindows PCの外付USB FDD等でマウントすると、フォーマットエラーの扱いでディスクをマウントできないだけでなく、不用なシーク処理の増加(による磁性体の劣化欠損に伴うデータ消失)や誤動作によるデータ書き換え処理が行われる可能性があり、たいへん危険です。MSXで使用する「2HDの穴が空いているが実態は2DDのディスク」は、速やかに何らかの方法で穴を塞いでください。
'90年代当時に2HDのディスクをMSXで2DDとして利用していた人が現在特に注意しなければならないことは、2DDなら本来塞がれていなければならない2HDの穴を開けたままでもMSXでは問題なく利用できたので、今日に至るまで2HDの穴を塞ぐ作業をして来なかったケースや、フォーマットが2DDなのか2HDなのか昔は覚えていたが今は覚えていないといったケース。くれぐれもお気を付けください。
応急処置としてセロテープを貼るのも可ですが、穴の光を遮るくらいちゃんと塞いだほうが得策と考えます。
Windows PCでのマウントの際にはライトプロテクトを施してからマウントするというのも安全対策の一つです。
Webアプリケーション
FAT16 Floppy Disk Maintenance
FAT16・FAT12といったFATファイルシステムの無圧縮(ベタ)ディスクイメージファイルをWebブラウザで編集できる、Webアプリケーション。モダンブラウザであればOSは問わず。スマホのブラウザでも利用可能です!
本来は主にPC-9801やいわゆるDOS/V機(DOS汎用マシン)といったFAT16の環境を対象としたアプリですが、MSXの2DDフォーマットで採用されているFAT12にも対応しています。ファイルの属性も変更できるのは優秀!
実現できること
- イメージ内のファイル参照
- イメージ内のファイルの閲覧(ダンプ)
- イメージ内のファイルの削除
- イメージ内のファイルの属性変更
- イメージ内へ任意のディレクトリの追加
- イメージ内へ任意のファイルの追加
- イメージ内から任意のファイルの取り出し
↓ Webアプリはこちら ↓ nazo.main.jp
なお、編集したディスクイメージファイルは「Save(ダウンロード)」するのを忘れずに!Webブラウザを閉じると編集内容が失われます。
Windows用のアプリ
MSX Floppy Disk Manager
MSX向けのフロッピーディスクに対して非常に多機能で、かゆいところに手が届くアプリ。フォーマット機能ではしっかりMSX向けのブートセクタを作成。対応OSはWindows7から、昨今の64bit環境でも動作可能。
実現できること
- フロッピーディスクのイメージ化
- イメージファイルからフロッピーディスクへの実体化
- MSX向けフロッピーディスクの2DDフォーマット
- 任意のファイル/ディレクトリのイメージ化
- イメージ内のファイル参照
- イメージ内のファイルの削除
- イメージ内から任意のファイルの取り出し
- ブランクのディスクイメージの作成
↓ダウンロードはこちら↓ sonono.net
MSXForm
Windows 98やWindows XPの頃から愛用されている「MSX向けに特化したフォーマッタ」アプリ。ブートセクタの書き換え機能のみ利用することもできる。ブートセクタの不安はこれで解消。
実現できること
↓ ダウンロードはこちら ↓ tatsu.life.coocan.jp
DiskExplorer
元々は各種NEC PC-9801エミュレータ向けのディスクイメージ編集アプリ。MSXの似非RAMディスク(メガROMイメージ)やMegaSCSI(MSX用SCSIカートリッジ)のストレージにも対応していたり、2023年にリリースされたMSX0 Stackでも使用を推奨されるなど、なぜかMSXとの縁が深い。2DDだけでなく1DDのディスクイメージも読めるらしい。
実現できること
- イメージ内のファイル参照
- イメージ内のファイルのファイル名変更
- イメージ内のファイルの削除
- イメージ内へ任意のディレクトリの追加
- イメージ内へ任意のファイルの追加
- イメージ内から任意のファイルの取り出し
↓ ダウンロードはこちら ↓ hp.vector.co.jp
なお、MSX向け各種イメージファイルはデータ形式に応じてアプリで開く際の形式指定を手動で変更する必要があります。
- 1DD・2DDのフロッピーディスクイメージは、「plain disk data」
- 似非RAMディスクのSRAM部分(メガROMイメージ)は、「ESE-RAM/SCC DISK」
- MegaSCSIで利用するSCSI HDDなどFAT12のストレージイメージは、「MEGA-SCSI HDD(SFORM形式)」
- openMSX・WebMSX(MSXエミュレータ)で用いるFAT12のストレージイメージは、「plain disk data」
- openMSX・WebMSXで用いるFAT16のストレージイメージは、「VMware plain disk data」
L3 Disk Explorer
元々は「ベーシックマスターレベル3」「MB-S1」といった日立製レトロPC向けの、多機能なディスクイメージ編集アプリ。MSX用ベタ形式ディスクイメージファイルにも対応。イメージ内ファイルのタイムスタンプやファイル属性も変更可能。
実現できること
- イメージ内のファイル参照
- イメージ内のファイルのファイル名変更
- イメージ内のファイルのファイル属性変更
- イメージ内のファイルのタイムスタンプ変更
- イメージ内のファイルのバイナリ・テキスト編集
- イメージ内のファイルの削除
- イメージ内へ任意のディレクトリの追加
- イメージ内へ任意のファイルの追加
- イメージ内から任意のファイルの取り出し
- イメージのフォーマット(初期化)
↓ ダウンロードはこちら ↓ s-sasaji.ddo.jp
Disk-Manager
Windows 98/Windows 2000用のMSXエミュレータ「RuMSX」と併用するために開発された、ディスクイメージ編集アプリ。エミュレータとの併用が必須ではなく、このアプリ単体で利用可能。
実現できること
- フロッピーディスクのイメージ化
- イメージファイルからフロッピーディスクへの実体化
- ブランクのディスクイメージの作成
- イメージ内のファイル参照
- イメージ内のファイルのファイル名変更
- イメージ内のボリュームラベル変更
- イメージ内のファイルの削除
- イメージ内へ任意のファイルの追加
- イメージ内から任意のファイルの取り出し
- イメージのエラーチェック
↓ ダウンロードはこちら ↓ www.lexlechz.at
ImDisk Virtual Disk Driver
任意のディスクイメージをWindowsのストレージドライブとしてマウントするアプリケーション。
「MSXマガジン永久保存版」に収録されたMSXエミュレータ「MSXPLAYer」では、利用者は独自仕様のディスクイメージと物理FDD(Aドライブ固定)のみアクセス可能で、標準的なディスクイメージには対応していません。ImDiskを用いて2DDのフロッピーディスクイメージをAドライブへマウントした状態でMSXPLAYerの「Drive1」メニューの「REAL DRIVE」を選択すると標準的なディスクイメージでもアクセス可能になります。
実現できること
- ディスクイメージの仮想ドライブ化
裏技的ですが、ImDiskを用いて任意の2DDフロッピーディスクイメージをマウントした状態でMSX Floppy Disk ManagerやMSXForm等のアプリを用いてAドライブに対してフォーマットを行うと、結果的にMSXのブートセクタを記述したブランクのディスクイメージを作成できます。
MSX 平片さん(MSXひらがなファイル名変換ツール)
MSXの実機では半角ひらがなでファイルネームを命名できましたが、半角ひらがなを用いたファイルをWindows環境下へファイルコピーするとファイルネームが文字化けしますので、それを補正するアプリケーション。
本来であれば、命名に問題があるファイルがフロッピーディスク内に存在する場合はディスクイメージ化する前にファイルネームを変更したほうが安全です。
実現できること
- Windows環境下でファイルネームが文字化けしたファイルの補正
↓ダウンロードはこちら↓
マルチプラットフォーム
MSX Disk Manager for CLI
Windows・Linux・macOSなどで使用できる、ディスクイメージ用のコマンドライン版ユーティリティ。
実現できること
- 任意のファイル/ディレクトリのイメージ化
- イメージ内のファイル参照
- イメージ内のファイルの削除
- イメージ内から任意のファイルの取り出し
- ブランクのディスクイメージの作成
↓ダウンロードはこちら↓ qiita.com
MSXエミュレータ
WebMSX(Webブラウザ)
Webブラウザ上で動作するMSXエミュレータですが、Windows環境下のファイルやZipアーカイブをディスクイメージへ放り込めて、ダウンロードできます。ブートセクタは未検証。
実現できること
openMSX(マルチプラットフォーム)
Windows・Mac OS・Linux・Android等多方面で動作するMSXエミュレータです。ローカル環境下のフォルダを仮想ドライブにマウント可能ですので、エミュレータ内でディスクイメージへ放り込めます。
実現できること
- 任意のファイル/ディレクトリのイメージ化
- ブランクのディスクイメージの作成
blueMSX(Windows)
まぁ一応ご紹介しておくと、エミュレータ内で仮想のFDDに対してフォーマット(BASICプロンプトで「CALL FORMAT」を実行)を行うと、空のディスクイメージを作成できます。この処理は、blueMSX以外のエミュレータでもだいたい実現できます。
エミュレータ内でマウントしたディスクイメージに対して任意のファイルを追加したうえでディスクイメージを保存することも、blueMSXに限らず各種エミュレータでだいたい実現できます。
実現できること
- 任意のファイル/ディレクトリのイメージ化
- ブランクのディスクイメージの作成
MSXの実機用
DFC
MSXの実機でイメージ化するのが一番信頼感があります。が、作成したディスクイメージファイル(720kB)を外に持ち出せるハードウェア・デバイスが必要です。
実現できること
MSX0 Stack用
diskchanger
MSX0用のディスクチェンジャーを更新しました。github.com/handomade/di... #MSX0
— 反動 (@handosgamechannel.bsky.social) 2024年10月7日 14:49
[image or embed]
Unit0のディスクイメージの切り替えにフォーカスしたアプリケーション。
なお、あらかじめdiskchangerのディスクイメージをUnit1で起動できる状態に設定しておく必要があります。設定変更は「Setup Utility」で行います。
実現できること
- フロッピーディスクイメージ(Unit0)の切り替え
↓ diskchangerのGitHubはこちら ↓ github.com
番外編:なぜMSX向けのフォーマット(初期化)が必要なのか
最近のWindowsではフロッピーディスクを2DDフォーマットする機能が無い(のでフォーマット出来ない)という噂が広まっていますが、実はコマンドプロンプトを利用すればフォーマット自体は可能です。ただし、WindowsでフォーマットしたフロッピーディスクはMSX向けのブートセクタが記録されないためMSXの実機ではDOSが起動しません。
MSX用(MSX-DOS、MSX BASIC)の2DDフォーマットはMS-DOS・Windowsと互換性がありますが、ブートセクタはMSX実機向けの内容でフォーマットされることが望ましいです。ブートセクタを正しく作成することでMSXの起動方法をユーザーの意思のままに制御できます。逆に、MSX向けでないブートセクタが書き込まれた状態では正常に起動できないトラブルにつながる可能性があります。
前述の各種アプリではMSX向けのブートセクタを記録しながら2DDフォーマットできるものもありますので、それらのアプリをどうぞご活用ください。
番外編:ブランクのディスクイメージをどう用意するか
これぞ「秘伝のタレ」メソッド。かくいう私(nf_ban)も実は1997年頃に実機で作成したMSX-DOS1用・DOS2用のブランクディスクイメージを今でもWindowsでずーーっと保存し続けています。一度作っておけば便利なんですよ。
実機でフォーマットしたブランクディスクイメージのダウンロード
私(nf_ban)が作成した「MSXの実機でフォーマットした2DDフロッピーディスクをその場でイメージ化したブランクディスクイメージ」のZipアーカイブを置いておきます。
ダウンロードはこちら → https://p.gigamix.jp/devmsx/cg/20240515_msx-2dd-blank-diskimages.zip
Zipアーカイブには以下の2ファイルが梱包されています。必要に応じて使い分けてください。