Gigamix Online

懐かしの8bitおもちゃPC「MSX」を骨までしゃぶり尽くそう。MSXの最新ニュース、ブログ、自作ソフトの配布など。

終末の過ごし方(MSX版) まさかのWindowsから移植された珍ソフト

b.hatena.ne.jp

 はてなブックマークで話題になってたので、思わずツイッターのツイートをまとめるだけでブログ記事になるのか実験。 togetter.com

 「終末の過ごし方」というWindows向けのえろげ(18禁ソフト)が1999年にリリースされていました。当時大流行したビジュアルノベルと呼ばれるジャンルに含まれる一本ではあるのですが、モノトーンに近い淡い彩色のなか一週間後に終末を迎える世界で誰とどう過ごすかというその刹那的なストーリーに心を惹かれたファンは数知れず。俺も、エロと言うよりは純文学の小説を読んでいたかのような思いを当時プレイして感じ取りました。

 開発元・アボガドパワーズ(略称:アボパ)の浦社長が亡くなって10年経過した状況で、会社経営が傾いたソフトハウスを横目で見ながらその無念たる思いが綴られるTogetterの元記事は2016年に公開。

 なんでアボガドパワーズMSXって!?というのも、関係がまるで無いわけでもなかったのです。MSXの「BURAI下巻」とシューティングゲーム「RONA」の開発元だったのです。

アボパの浦社長と言えば、MSXでいうとBURAI下巻とRONA。MSX市販ゲーム再末期にご活躍された方ですね。この方のおかげで終末の過ごし方forMSXもリリースする事が出来ました。 — せいみまさみ (@masa_seimi) December 12, 2012

 で、なぜか2001年にMSX版(正確にはMSX2+/turboR版)のソフトが発売になりました。Windows版からMSX版への移植です。元のゲームソフトのプラットフォームから性能が著しく低い過去(特に8bit)のプラットフォームへ移植する行為を最近は「ディメイク(demake)」と呼ぶらしいです。2001年当時にディメイクなんて言葉はありませんでした。

 MSX版はアボガドパワーズから発売されたのではなく、メーカーからのライセンスを受けて製作委員会方式で開発され、ソフ倫の審査も通過しているパッケージソフトです。当時に400本しか製造されていませんし、ネット通販もしょぼい時代(確かMSX系イベントでの販売のみ)ですから、2020年の今このソフトを持ってる人は相当レアだと思います。

https://www.gigamix.jp/ds2/cg/screenshot_we_1.png

 当チームはその開発に関わっていたので、忘れてないことをここに書いておこうと思います。

パッケージ

寝る前に「終末の過ごし方」とつぶやいたら妙に懐かしかったのでMSX版の箱を引っ張り出してきた。 pic.twitter.com/aqaDj2a9 — Takashi Kobayashi (@nf_ban) December 20, 2012

 元になるWindows版のパッケージに対してMSX版の修正箇所をシールで上から貼ることで解決しました。  イラストレーターの小池定路さんの名前へ直した(Windows版は旧名義)のが印象的。

「終末の過ごし方」MSX版のメディアは、プリメもビックリの2DDフロッピーディスク8枚組w pic.twitter.com/migxqpJL — Takashi Kobayashi (@nf_ban) December 20, 2012

 フロッピーディスクは合計8枚組。1枚目が起動用のシステムディスク、「一週間後に確実にゲームが終了する(=終末を迎える)」システムなので一日分のゲームデータを2DD1枚にデータ圧縮して、2~8枚目に割り当ててあります。

FD入れ替え云々のツイートを見て。MSX2版「終末の過ごし方」では、ファイルを上手く割り振って、ゲーム内時間で1日ごとにディスク交換するようにしたっけなと。会心の出来だったのにturboR版でそれが崩れて悔しかった思い出(苦笑)。 — ごりぽん (@goripon_tw) February 10, 2020

グラフィック

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ブラウン管では許された表現的な話。「終末の過ごし方」というWindowsのADVをMSXへ移植する際、どんな画になるかをプレゼンするためのディスクが見つかった。MSX2+のSCREEN12を採用、背景にディザリングを使った。ブラウン管だと水彩風によくにじんで綺麗だったのだが、液晶だとまるでダメ… pic.twitter.com/MgLjuxuK3Z — Takashi Kobayashi (@nf_ban) September 23, 2019

 元々が水彩タッチのゲームで、MSX2+の自然画モード(SCREEN10・11・12)と相性が良いのでは?というアイデアがあり、試しに実験をしてみたら思いのほかハッタリ度が高かったため、製品化を打診したら、なんとOKが出た、と。

 メーカーから各種素材が提供されました。で、グラフィックに関してはWindows版の原画しかないので、これをMSXへ大量に落とし込むため、いわゆる「コンバータ」を用いました。自分ではコンバータを作れないので実績があるフリーソフト2本を活用しました。

 解像度はもとより24bitBMPからYJKでは階調も圧倒的に足りないので、ディザ拡散ではなく「45度網点」を用いました。理由は、俺の好みです。当時はアナログモニタ、MSXではコンポジット出力すらある状況ですので、網点は色を混ぜる効果がありました。

 場面によって二つのツールを使い分けたり、二つのツールで出力した結果を部分的に合成して1枚に仕上げたり。これらのツールが無ければ、このソフトは絶対にリリースされていなかったと思います。

サウンド

 MSX2+対応であったものの、全編PSG(AY-3-8910)で音楽が演奏されます。FM音源MSX-MUSIC)のBGMは制作はしていたのですが残念ながらメモリ容量の都合で入りませんでした。FS-A1FX(MSX-MUSIC非搭載のMSX2+)に配慮したためだ!と当時は言い聞かせていましたが、まぁムチャな言い訳でした。

 Windows版の楽曲からPSG 3音への落とし込みは、BEEPBOYさん(twitter@beepboytokyo)の職人技で実現しました。OPLLでなくPSGの音源にチープ化したことで逆にモノクロームな雰囲気がより濃く出るようになった印象がありました。

 後にFM音源版の楽曲を含んだサウンドトラックが発売されました。もしかすると中古市場に出回ってるかもしれませんね。

primitivesound.info

 ミュージックドライバーは現在当クラブでメンテナンスしている「MGSDRV」を採用しました。

 MGSDRVはどなたでもご自由にソフトに組み込んでお使いいただけますので、こちらもどうぞよろしくお願いします。https://gigamix.jp/mgsdrv/

ミドルウェア

 当クラブのBASICプログラム開発支援ツール「DMシステム2」を採用しました。

 漢字表示と画像圧縮で特に役立ちました。MSX2+の自然画モードにて影付き文字を背景グラフィックへ上乗せできる機能は当時珍しかったと思います。また、メモリマッパー管理、マウス・ジョイパッド兼用のデバイス制御、BGM演奏等の開発工数を軽減化しました。

ちなみにMSX版「終末の過ごし方」はハードディスクインストールにも対応。ディレクトリ掘ってフロッピーディスクの内容を全部コピーしてautoexec.bas実行で動く。DM-SYSTEM2、というかDiskMailのディスク入れ替えシステムの賜物だけども。 — ごりぽん (@goripon_tw) 2018年9月19日

 DMシステム2はどなたでもご自由にソフトに組み込んでお使いいただけますので、こちらもどうぞよろしくお願いします。https://gigamix.jp/ds2/

そういや…

 同時期に、大阪のほうでMSX版ONEの移植プロジェクトが立ち上がっていました。そっちはHDD対応だったりMIDI対応だったりスペック的に面白そうなことをやろうとしていたようだけど、けっきょく完成しなかったんですね…。どこまで完成していたんだろう…

で、MSX版ONEが出ないから、何か新作はないかと、移植だけど白羽の矢が立ったのが終末の過ごし方forMSX。MSX2+版は時間的問題と、音楽用バッファが3KiBしかないためFM音源データがメモリに置けずPSGのみ対応に。tR版は完成したFM音源版もちゃんと収録されています。 — せいみまさみ (@masa_seimi) May 10, 2016

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