【2024.06.15更新】TriloTrackerの公式サイト移転に伴いリンク先URLを修正
【2024.05.27更新】SCC-Iとは の情報を追加
【2022.09.27更新】ADX Player の情報を追加
【2022.01.23更新】Realfun 3 追加
【2021.01.23更新】MPK(Music Player K-kaz system) 追加
SCC-Iとは
コナミ「スナッチャー」「SDスナッチャー」の付属カートリッジに搭載されたSCC音源チップの名称です。これはコナミのその他のMSX用ゲームカートリッジに内蔵されていたSCCとは少し違います。
SCC-IはSCCと互換性がある「互換モード」に加え、全5音それぞれ異なる波形を指定できる独自のモード(ここでは「拡張モード」と呼びます)が存在します。通常のSCC(互換モード)はch4とch5が同じ波形で発声されるので、拡張モードでは互換モードよりも音の表現力が拡大します。
SCC-Iは「SCCI」「SCC+」「K052539」「2312P001」と呼ばれることもあります。対して通常のSCCは「K051649」と呼ばれることもあります。
SCC-Iをなんと呼称するのが正しいのか、私には分かりかねます。ICの表面に「SCC-I」と刻印されていますので、ここでは「SCC-I」と呼びます。
ちなみにコナミが1990年に半導体を外販していた際は、通常のSCCを「SCC1.0」、拡張モードが存在するSCCを「SCC1.1」と呼称していたそうです。が、この呼び方は2024年現在では普及していないように思えます。
この記事の趣旨
これまで「SCCに対応する」と言うと「SCCとSCC-Iのどちらでも再生できる=互換モードのデータを作成する」「互換モードで発声する」ことを意味していました。
しかし昨今、SCC-Iの拡張モードを用いて楽曲を作りたいというニーズが現れ始めました。SCC-Iを搭載した製品である「スナッチャー」「SDスナッチャー」の入手は2021年現在極めて困難であることに対し、互換品・相当品の入手は比較的容易になっています。今ではパソコンのソフトウェアで完全にエミュレーションすることも可能なため、むしろ1990年代の頃より2021年のほうがSCC-Iに対する敷居が低くなっている感すらあります。
ところが各種サウンドドライバでのSCC-I拡張モードの対応状況をMSXのコミュニティにて探すも、拡張モードに限った情報は極めて少なく全貌が把握できないため、それらを2021年の基準で確認することにしました。
また、ついでに、初代MSX(MSX1)の規格で動作の可否が判明しているものに関しては記述しています。
【おことわり】SCC音源に対応しないドライバは今回調査の対象外なため取り上げません。予めご了承ください。
SCCの仕様(解析資料)
裕之さんのドキュメントが詳しいです。→ http://d4.princess.ne.jp/msx/scc/
SCC-I音源に対応するMSX用サウンドドライバ一覧
ADX Player
- 作者:Mstz80axさん
- SCC拡張モード:対応
- 対応音源:OPLL・PSG・SCC・PCM
- 対応ハードウェア:MSX, MSX2, MSX2+, MSX turbo R
- 配布サイト:https://www.msx.org/downloads/adx-player-ver-30
OPLL×2(ステレオ)・PSG×2(ダブルPSG可)・PCMが利用可能。2022年現在MSX史上最も高機能と思われるミュージックドライバが、ついにSCC-Iに対応。
Realfun 3
- 作者:XL2S Entertainment group
- SCC拡張モード:対応
- 対応音源:PSG・SCC
- 対応ハードウェア:MSX turbo RのV9990環境
- 配布サイト:https://www.msx.org/news/software/en/realfun-3-a-new-scc-psg-tracker-in-development
MSX turbo RならびにV9990の外付けカートリッジが必要のようでハードウェア要件が高めですが、出てくる音は驚異的ですね!
SCC音源に対応するMSX用サウンドドライバ一覧
サウンド君
- 初出:マイコンBASICマガジン(電波新聞社・刊)1989年11月号
- SCC拡張モード:不明
- 対応音源:PSG・SCC
- 対応ハードウェア:MSX1以上(RAM 64KB)
- 命令表:サイバラさんの転載記事 http://www.big.or.jp/~saibara/msx/data/soundkun.html
- 当時の記事:Internet Archive https://archive.org/details/BASIC198911
MuSICA
- 初出:MSXマガジン(アスキー・刊)1990年10月号
- SCC拡張モード:非対応
- 対応音源:OPLL・PSG・SCC
- 対応ハードウェア:MSX2以上 ※公式見解
- 互換ドライバ「勤労4号」「勤労5号」および同人ディスクマガジン「NVマガジン」のシステム同梱互換ドライバも非対応
- 入手方法:MuSICAはMSXマガジン永久保存版3、勤労シリーズはFSW倉庫 → http://sakuramail.net/fswold/music.html
- 仕様書:サイバラさんの転載記事 http://www.big.or.jp/~saibara/msx/data/musica.html
- うにスキーさんの解説 https://uniskie.hatenablog.com/archive/category/MuSICA%20%28ASCII%29
ちなみにMuSICAエディタは公式見解ではないものの環境を構築すればMSX1でも動作します(RAMが32KiB以上必要)。
環境の構築方法は、TINY野郎さんのページに記載されています。→ http://www.tiny-yarou.com/msxmusica.html
MGSDRV
- 作者:Ain.さん/Gigamix
- SCC拡張モード:非対応
- 対応音源:OPLL・PSG・SCC
- 対応ハードウェア:MSX2以上のMSX-DOS2 ※公式見解
- 公式サイト:https://www.gigamix.jp/mgsdrv/
ちなみにMGSDRVは環境を構築すればMSX1でも動作します。
MPK(Music Player K-kaz system)
- 作者:K-KAZ.さん(Xray)
- SCC拡張モード:非対応
- 対応音源:OPLL・PSG・SCC
- 対応ハードウェア:MSX2以上
- 公式サイト:http://xray.delta-z.org/mpk.html
ちなみにMPKは公式見解ではないもののMSX1でも動作するそうです(RAMが32KiB以上必要)。
APiDRV
- 作者:APiさん
- SCC拡張モード:不明
- 対応音源:OPLL・PSG・SCC・MIDI・PCM
- 対応ハードウェア:MSX turbo RのMSX-DOS2
- 配布サイト:http://hp.vector.co.jp/authors/VA010445/MSX/kakmsxf.htm
SCMD
- 作者:めがさん
- SCC拡張モード:不明
- 対応音源:OPLL・PSG・SCC(2つまで)・MSX-Audio
- 対応ハードウェア:MSX turbo R(ver.2)
- 公式サイト:https://cpu.8bitsize.com/3mhz/
SCC Blaffer (NT)
- 作者:TeddyWareZ
- SCC拡張モード:不明
- 対応音源:PSG・SCC
- 対応ハードウェア:MSX2
- 配布サイト:https://www.msx.org/ja/downloads/music/trackers/scc-blaffer-nt-13
SCC-Musixx
- 作者:Tyfoon Soft
- SCC拡張モード:非対応
- 対応音源:SCC
- 対応ハードウェア:MSX2
- 配布サイト:https://www.msx.org/wiki/SCC-Musixx
Super Music Editor
- 作者:XelaSoft
- SCC拡張モード:不明
- 対応音源:OPLL・SCC・MSX-Audio
- 配布サイト:https://www.generation-msx.nl/software/xelasoft/super-music-editor-extended/2649/
TriloTracker
- 作者:Trilobyte
- SCC拡張モード:不明
- 対応音源:OPLL・PSG(AY-3-8910・SN76489)・SCC
- 対応ハードウェア:MSX turbo R
- 公式サイト:https://github.com/cornelisser/TriloTracker
- SNSアカウント:https://twitter.com/TrackerTrilo/
- YouTube:https://www.youtube.com/playlist?list=PL06LomyIGUgNyhoewb7QUFHmMKULBkrov
2種類の波形をモーフィングする機能を搭載したトラッカー。
MSXplug/MSXplay
- 作者:DSAさん
- SCC拡張モード:可能(選択式)
- 対応音源:OPLL・OPL・PSG・SCC
- 公式サイト:https://github.com/digital-sound-antiques/in_msx