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ほぼ自分用メモ・MSXの実機用グラフィックエディタまとめ

【2025.03.12更新】「MOKOⅡ」詳細判明につき情報を追加
【2025.02.20更新】オマケ:皆さんどうやってMSX1の画像を作成しているのか?を追加
【2025.01.03更新】「CG-7」「HENGE」を追加

 忘れないうちに。見つかり次第随時更新します。

当まとめの収集対象

  • 当記事は、MSXの実機を用いて全画面編集が可能なグラフィックエディタを収集しています。
  • MSX1から利用可能な「SCREEN1.5」や「多色刷りモード」等と呼ばれる画面モードに対するPCGエディタ(マップチップツール)は、MSX1で全画面(上中下の3段)とも編集可能なものを有効とします。

当まとめの除外対象

  • スプライトエディタは除外します。全画面編集ではないので。
  • MSXの実機で動作しないエディタは除外します。

 スプライトエディタ、並びにWebブラウザWindows PCなど現在主流のデバイスで動作する各種エディタは以下の記事にまとめてあります。↓↓↓ gigamix.hatenablog.com

きっかけ

note.com

ですが最近は実機で映した時の違和感を無くしたく思い始め、実機動作のグラフィックエディターに興味を持っているところなんですよね...screen2の描画ソフトは当時の商品にしか無いものなのでしょうか? — Rui8bit (@Rui8bit) 2024年11月24日
MSXではユーザーの保存メディアとしてフロッピーが普及する頃には規格がMSX2に上がっていたため、MSX1実機用CGエディタはほぼ過去に発売されたものだけです。ゲーム開発向けPCG(マップチップ)ツールは…頑張ればピクセルアートも描けるのですが、定番のエディタというものは存在しないと思います。 — Takashi Kobayashi (@nf_ban) 2024年11月24日

 MSX1のハードウェアスペック(VDP TMS9918)で素晴らしいピクセルアートを発表しているアーティストのRui8bitさん(twitter@Rui8bit)が、MSX1の実機で動作するCGエディタを探している様子でした。自分の作品を仮想環境でなく実物で作りたい・見てみたいというその気持ち、とーっても分かります!!

 Rui8bitさんが生まれた頃、MSXはパソコン市場で完全に死んでいた時代です。筆者(nf_ban)は一応今でもMSXでドット絵を嗜む人間の一人ですので何か協力できないかと考えた末に、2025年現在までにMSX1の実機で動作するCGエディタがどんだけ存在しているのか状況を確認したくなりました。もし自分の知らないエディタが多数あり手軽に使えるのであれば、自分も触ってみたい、と…

 で、確認するうちにMSX2用・MSX2+用の情報も多数見つかりましたので、規格ごとにまとめてみました。

MSX1対応

 MSX1では基本的に、対応スクリーンモードはSCREEN2です。MOKOシリーズのみ SCREEN1.5(PCGエディタ)。

 MSX1では基本的に、保存媒体はカセットテープです。MSX1かつ保存媒体にフロッピーディスクを使用する場合、本体RAMが32KB以上必要です。16KB以下の機種ではRAM増設カートリッジによる本体拡張が必要です。

タイトル メーカー 媒体 保存 備考
MSXマウス+CHEESE NEOS ROM TAPE マウス同梱
グラフィックエディター HAL研究所 ROM TAPE ライトペン対応
アニメエディターEDDY HAL研究所 ROM TAPE トラックボール同梱
EDDYⅡ SONY
HAL研究所
ROM TAPE
DISK
トラックボール対応
グラフィックボール+EDDYⅡ SONY
HAL研究所
ROM TAPE
DISK
トラックボール同梱
グラフィックマスターラボ SONY
HAL研究所
ROM TAPE
DISK
トラックボール対応
タブレット対応
RS232C対応
グラフィックアーチスト YAMAHA ROM TAPE
DISK
マウス対応
グラフィックタブレット National TAPE TAPE タブレット同梱
グラフィックタブレット
+ピクチャーペインター
Canon ROM TAPE タブレット同梱
スーパーインポーズ対応
ライトペングラフィックス SANYO ROM TAPE ライトペン
JOY GRAPH( ジョイグラフ) Victor ROM TAPE タブレット対応
描きくけコン CASIO ROM TAPE
QD
クイックディスク対応
モニタ・アセンブラ/
グラフィックエディタ
MIA TAPE TAPE
MOKO 多部田俊雄 TAPE TAPE PCGエディタ
マイコンBASICマガジン
1986年5月号
MOKOⅡ 前田晃弘 TAPE TAPE PCGエディタ
マイコンBASICマガジン
別冊 MSX・MSX2
プログラム大全集
Kimcoのキャラクタ・スプライトエディタ 木村泰則 TAPE TAPE PCGエディタ
マイコンBASICマガジン
別冊 MSX・MSX2
プログラム大全集
MSX Designer Softnew Informatica DISK DISK ブラジル製
MSX Video Graphics Plus Softnew Informatica DISK DISK ブラジル製
Graphic Designer Cable Software TAPE TAPE イギリス製

 MSX1の頃はHAL研究所開発のグラフィックツールをカスタマイズした製品が各メーカーから発売されていたようですね。当時からフロッピーディスクに対応するHAL研究所の先見の眼が凄い。もしかすると他のHAL研究所開発のツールもフロッピーディスク対応なのかもしれない…。

EDDY2はフロッピーディスク対応

[https://youtu.be/O91U7fV-8ns?si=hY-UkXRArf2Mayrx:embed:cite]

 動画で見れば一目瞭然。これは助かる!!

グラフィックマスターラボはフロッピーディスク対応

↓こちらで使った「グラフィックマスターラボ」は、写真にも写ってますが、FDD繋いでFDにセーブしてたと記憶していますが… https://dailyportalz.jp/kiji/drawing-book-covers-on-MSX — ごりぽん (@goripon_tw) 2024年11月26日
こんばんは。ブルボン小林さんにお貸しした『グラフィックマスターラボ』は、フロッピーディスクにも保存できる優等生です。 pic.twitter.com/woI7uqzwXd — 夏冬 春秋(かとう はるあき)青空も始めました (@ratianrose) 2024年11月26日

 MSX1と「グラフィックマスターラボ」で画像制作を実演している記事が2024年に読めるとは思わなんだ。2024年にもなって保存媒体がカセットテープというのは正直厳しいです。フロッピーディスクですら怪しいというのに… [https://dailyportalz.jp/kiji/drawing-book-covers-on-MSX:embed:cite]

MSX2対応

 MSX2では基本的に、保存媒体はフロッピーディスクです。

タイトル メーカー 媒体 SCREEN 備考
SZMFE 鈴見咲君高 DISK 1.5・4 フリーソフト
グラフサウルス BIT2 DISK 5・7・8・12
グラフサウルス ver.2.0 BIT2 DISK 5・7・8・12
グラフサウルス ver.2.1 BIT2 DISK 5・7・8・12 インターレース対応
CHEESE 2 NEOS ROM 5・7
ピクセル2 T&Eソフト DISK 5・8
ピクセル3 T&Eソフト DISK 5・7・8
DD倶楽部 T&Eソフト DISK 5
T&Eマガジン ディスクスペシャル
(EASY)
T&Eソフト DISK 5 DD倶楽部の
機能限定版が
入ってる噂
ザ・ペインター YAMAHA PSC 5 TAPE保存?
要RAM128KB
SIIANIME S-Ⅱ DISK 5 MSX・FAN
1993年2月情報号
GAZE OUTSIDE DISK 5 MSX・FAN
1993年6-7月情報号
RDSツール
お習字ツール 撃退サミー DISK 5 MSX・FAN
1994年12月情報号
書道ツール
画楽多 和知電子機器 ROM 7
Final Graphics v2.0 H.S.H DISK 7 ブラジル製
ISE 多摩川源五郎 DISK 7 フリーソフト
インターレース専用
CG-7 Toxsoft DISK 7 MSX・FAN
1992年8月情報号
INTER-RACER NG DISK 7 フリーソフト
インターレース専用
要MSXべーしっ君
グラフィックエディター 写画楽 Victor DISK 7・8 デジタイザ対応
RS232C対応
ダ・ビンチ MSX2 ポプコムソフト DISK 8
ビデオグラフィックス National DISK 8 デジタイザ対応
FS-A1F付属システムディスク
グラフィックツール
Panasonic DISK 8 スキャナ対応
FS-A1FM付属システムディスク
グラフィックツール
Panasonic DISK 8 スキャナ対応
FS-A1FX付属システムディスク
グラフィックツール
Panasonic DISK 8 スキャナ対応
FS-A1WX付属システムディスク2
グラフィックツール
Panasonic DISK 8 スキャナ対応
FS-A1WSX付属システムディスク2
グラフィックツール
Panasonic DISK 8 スキャナ対応
FS-A1ST付属システムディスク2
グラフィックツール
Panasonic DISK 8 スキャナ対応
要MSX-DOS2
FS-A1GT付属システムディスク2
グラフィックツール
Panasonic DISK 8 スキャナ対応
要MSX-DOS2
HB-F1XD付属
F1ツールディスク
SONY
(HAL研究所)
DISK 8 トラックボール対応
HB-F1XDmk2付属
F1ツールディスクⅡ
SONY
(HAL研究所)
DISK 8 トラックボール対応
HB-F1XV付属
クリエイティブツールⅡ
SONY
(HAL研究所)
DISK 5・6・7・8 トラックボール対応
Video Graphics Philips DISK 8 オランダ製
MSX Designer Philips DISK 8 オランダ製
Designer Plus Philips DISK 8 スペイン向け
HENGE SUGAエンタプライゼス DISK 8 MSX・FAN
1993/94年12-1月情報号
モーフィングツール

 MSX2の時代になると保存媒体のフロッピーディスクが普及し始め、各メーカーがFDD搭載機にMSX-DOSのシステムディスクを付属していました。そのディスクの中にグラフィックツールを含めていたメーカーが少なくともPanasonicとSONYの2社あり、「最低限の絵は描ける」という体制が広く確立しました。

 Panasonicのグラフィックツールは、MSXで映像編集を行う同社(Nationalブランド)の高級機種 FS-5500シリーズ向けのアプリ「ビデオグラフィックス」の機能限定版です。UIは一緒です。ビデオグラフィックスは本体デジタイズ機能(入力映像のSCREEN8画像化)に対応していましたが、各機種システムディスク搭載のグラフィックツールはデジタイズ機能が削除されて同社のイメージスキャナ対応に変更されました。

 また、フロッピーディスクの普及に伴い、パソコン雑誌の投稿プログラムやパソコン通信のフリーソフトとしてアマチュアプログラマ制作のアプリが登場し、配布されるようになりました。今だと入手は困難かもしれませんが…入手可能性探求の観点から今回リストアップしました。

 MSX2でグラフィック性能が高まったことでCGエディタはMSX2の性能に準拠したものが多数リリースされるようになった一方、MSX2でフロッピーディスクの普及が進んだのにMSX1の性能で描けてフロッピーディスクで保存できるようなCGエディタはこれ以降全く無いというレベルでほぼ登場しませんでした。あえてMSX1の性能で描くというニーズが無かったのでしょう…残念です。

ビデオグラフィックスは世界に3種類存在する

The screenshot is from Video Graphics released by Philips (https://www.generation-msx.nl/software/a-koene/video-graphics/3970/). It was bundled with the MSX2 NMS-8280. But it seems you have an image of it with Portuguese texts :) — Sandy Pleyte (@sndpl) 2024年11月29日

  1. 日本で松下電器産業(当時Nationalブランド)がリリースした「ビデオグラフィックス」
  2. Philipsが欧州向けにリリースした「Video Graphics」
  3. Softnew Informaticaが南米向けにリリースした「MSX Video Graphics Plus」

は、それぞれが全く異なるCGエディタということが判明しました。

MSX2+対応

タイトル メーカー 媒体 SCREEN 備考
グラフサウルス BIT2 DISK 5・7・8・12
グラフサウルス ver.2.0 BIT2 DISK 5・7・8・12
グラフサウルス ver.2.1 BIT2 DISK 5・7・8・12 インターレース対応
OuT-SeT 大羽なお DISK 10 MSX・FAN
1994年2-3月情報号
OuT-SeT spX 大羽なお DISK 10・12 同人ソフト
Screen 11 Designer Sunrise DISK 11
スクリーンモード12専用
簡易グラフィックツール
KNKKY DISK 12 TAKERU専売
自然画伯 多摩川源五郎 DISK 12 フリーソフト

 MSX2+はSCREEN10~12の「自然画モード」搭載が大きな機能アップの一つでしたが…メーカー付属のグラフィックツールが自然画モードに対応しないという酷い有様でした(MSX turbo Rも同様)。そりゃあ活用されないだろ…

オマケ:皆さんどうやってMSX1の画像を作成しているのか?

MSX 界隈のゲーム作ってる方PCGのデータ化ってどうやってるんですか?まとめて変換する時、裏表(フォアカラーBGカラーの選択)って一番左のドットがどっちかって自動的に変換してるんだろか?チップの並び(データ格納)順とか、どうやってコントロールしてるんだろう? — YAZ , 出口さん テキときどきミカタ (@yazioh) 2024年12月26日

自作派

私は RabbitAdventureのときはPythonで変換ツール作ってデータにしてました 画像データを独自の圧縮までやってるので既存のツールでは対応できず、仕方なく。でもパーツ番号の調整とか調整しやすかったです😊— HRA!.🅼🆂🆇 (@thara1129) 2024年12月27日
わたしはExcelで目視変換です。https://twitter.com/brapunch2000/status/1835100495494758668 — SAILORMAN BRAVO BROS (@brapunch2000) 2024年12月26日
BASICでSCREEN2用のエディタ作ってやってました。最近久しぶりに起動してみた。予想外に遅くてびっくり。。。— 野中 純(阿寒湖まりも) (@puni2marimo) 2024年12月27日
自作のSCREEN2エディタのデータを使っています。— MSX研鑚推進委員会 (@mdpc___) 2024年12月27日
昔は変換&詰め込み後に輝度の高い方を1にするように後でBASICプログラムで加工してましたね。並び替えもBASICでやってましたね~ キャラ単位圧縮は99x8editを使ってました。https://github.com/YusukeLab/99x8Edit — うにの助うに太郎(うにスキー) (@uniskie2) 2024年12月27日
都度 Python なり C# なりで変換プログラム作るから、まぁテキトーだよね…。 https://twitter.com/yazioh/status/1872407594641531050 — Narita Kuniaki (@narikuni) 2024年12月27日
ツール(エディタ)を毎回作ったり、少し時間かけて汎用ツール作ってました。LIMITLESS (MSXオリジナルゲーム) https://youtu.be/9s7crpdSq90 ↑は16x16のタイルを8x8サイズで並べる(つまり1/4の画面の)ツールでマップを作りました。 https://twitter.com/yazioh/status/1872407594641531050 — ぺんぺねっと™🐧代表鳥締役野鳥 🎮 https://raging-blitz.penpe.net (@penpe_net_) 2024年12月27日

 圧倒的多数。単にデータを出力するだけでなく自作アプリに活用してゆくのであればツールも自作したほうが効率が良いという判断。共通のデータ形式から変換するのでなく俺仕様で直接出力することもできますしね。自分専用だからツールが世に出回らない(従ってノウハウも公開されない)といったジレンマを抱えての、今の状況。

変換ツールを使う派

BASICでPCGデータを変換していた時は左端の色から登録してました今は画像変換ツールのBMPtoMSXでSCREEN2/4用に変換したものをMSXで表示して、VRAMのアドレスからそのまま取り出しているので、特に意識していなかったり(^^;並びが必要な時は変換前の画像の時に入れ換えてます — b.p.s. (@BasicProgrammer) 2024年12月27日

 前景色・背景色のこだわりが無い場合は変換ツールですぐに作れますね。

I use a tool (on PC) born for the TI99/4A (that has the same VDP) called Magellan. I have to modify the binary files (cutting out the header, first 7 bytes and the tilemap that is always attached after definitions data) but it is easy to do with any hex editor. You can directly — Giuseppe Pintus (@thegeps74) 2024年12月27日
Draw or even import PNG files and automatically build the tiles, removing duplicates — Giuseppe Pintus (@thegeps74) 2024年12月27日

You can use/draw your tiles/patterns with an application designed to export binary data directly (like nmsxtiles: https://code.google.com/archive/p/nmsxtiles/). In this case, you select which color is background or pattern. 1/2 — nenefranz (@nenefranz) 2024年12月26日
On the other side, you can draw with a general application (like Photoshop, Gimp or Aseprite) and then use a conversion tool to generate binary data. With this option, the order of the colors (background or pattern) depends of the rules applied by this conversion tool. 2/2 — nenefranz (@nenefranz) 2024年12月26日

チェッカーで確認する派

この記事はよく集約されていて画面モードの情報として参考になります。ありがとうございます!実は自分は描画スタイルは決めていて、Asepriteで描いた絵をpixel polizeiというエラーチェッカーの画面を見て修正する方法を取っています。msxではscreen2と3に対応しています https://www.kameli.net/marq/?page_id=4557 — Rui8bit (@Rui8bit) 2024年11月24日
I use PixelPolizei to convert images to .SC2. Then, if I need to change anything about the generated image (like swap the colors that are background/foreground), I usually write a BASIC program to do it. https://www.kameli.net/marq/?page_id=4557 — SD-Snatcher (@SnatcherAlpha) 2024年12月27日

 Pixel Polizeiというツールが、TMS9918のハードウェア仕様に合っていない画像の箇所を判定してくれるらしい。興味ある!

 Pixel Polizeiはこちら → http://www.kameli.net/marq/?page_id=4557

 他にも情報がありましたらぜひ教えてください(twitter@nf_ban)。よろしくお願いします。