この記事が公開されてから既に1ヶ月以上経過しているのですが誰もツッコまないので「くっ、スルー力が足りない」と思いつつも反応せざるを得ない自分が悲しいです。とりあえず、下のサイトをご覧下さいまし。
Tech総研 - 時代を先取りしすぎ?今だから評価したい入魂の名製品より:
先進の3.5インチFDDを装備したMSXコンピュータ
MSXホームパーソナルコンピュータ “HIT BIT”HB-55「人々のHiTBiT~」という松田聖子のTVCFとともに83年に発売された。パソコンの統一規格MSX2に準拠するマシンで、そのデザインに萌えたファンも少なくなかった。
上位機種はソニーが生み出した3.5インチFDDを装備。当時FDDはまだ珍しく、価格も高かったが、何と2スロット標準装備というものまであった。また256kbRAM、漢字ROMなどを備え、利便性はMSXのなかでもきわめて高かった。
オプションのパレットボードを使えば4096色表示が可能といったマルチメディア志向、デザイン性の高い外観などのDNAは、後にVAIOに受け継がれ、花開いた。
この解説はいったい何を解説しているのか?
Tech総研と言えばエンジニアを対象にした有名な転職支援サイトの読み物コンテンツですが、このサイトにて10月4日に公開された上の読み物は一見、「ああ、HIT BIT(ヒットビット)なんて懐かしいな~」と懐古の気持ちにさせられる解説ですが、単純にソニーのMSXパソコン・HB-55という機種のみの観点で読むと、この解説は何もかもが間違っています。
- HB-55はMSX2ではなくMSX1です。
- HB-55の上位機種…HB-75ですか?
- HB-55にしてもHB-75にしても、RAMは256Kbではありませんし、漢字ROMは搭載されていませんし、FDDは1基も装備されていません。
- 「パレットボードを使えば4096色表示」というのはHB-55ではなく、ましてはMSXでもなく、SMC-777ですよね?
ただし、ソニー製のMSXパソコンはすべて「HIT BITブランド」の「HB-55というシリーズ」だ、と筆者が思い込んでいる場合、この解説はかなり正しくなります。
- 確かに、MSX2の上位機種のHB-F900は3.5インチFDDが2基装備されていました。
- 256kbRAMが、256キロビットではなく256キロバイトという意味で書いている(通常、小文字のbはビット、大文字のBはバイトを表す)のであれば、確かに、上位機種のHB-F900は256KBでした。
- 確かに、上位機種のHB-F900には漢字ROMが搭載されていました。
- オプションによる拡張という意味では、パレットボードの件はまだ間違っているけど、HBI-F900(AVクリエータ)は存在するので、ちょっと惜しい。
さらに、ソニー製の昔のパソコンはすべて「HIT BITブランド」の「HB-55というシリーズ」だ、と筆者が激しく勘違いしている場合は、この解説はすべて正しくなります。
- 確かに、SMC-70は当時としては大変珍しい、3.5インチFDDを2基装備したマシンでした。
- 確かに、SMC-777はオプションのパレットボードを使えば4096色表示が可能でした。
実はソニーの昔のパソコン全部の話!?
この記事は、詰まるところ
と、著者が断定した上でごちゃ混ぜに書いたのではないでしょうか。技術者ばかりが読んでいるであろうこのようなサイトで、今回の記事のクオリティはちょっとマズくないでしょうか。記事を公開する前にもうちょっと突っ込んで下調べすることはできないものでしょうか?Tech総研はたまにMSXに関する記事が公開されることがありますが、前回のMSX関連記事のクオリティが良かっただけに残念です。
今回の記事はトラックバック送信不可なので、先方が記事を訂正しない限り、間違いをただひたすら垂れ流す結果になっています。仕方が無いので、「このレポートを採点するとしたら?」という問いに対して、0点を付けて抗議!(^_^;