思えば去る2000年8月に開催されたMSX系同人即売会 MSX電遊ランド2000 の公演にて 西さん の口から「1チップMSX」という言葉が出てから早4年。アスキー と MSXアソシエーション の共同開発チームは10月29日、PLD WORLD 2004 会場にて、MSXのハードウェアを1個のFPGAチップに集積した「1チップMSX(仮称)」を発表しました。
この発表の模様は ASCII24 の アスキーとMSXアソシエーション共同開発チーム、FPGAで作った“1チップMSX”を公開――製品化は来年3月を目標 にて詳しく解説されていますので、MSXユーザーの方やMSXに興味がある方はぜひご一読下さい!
【12.14更新】当blogの ミナカン:1チップMSXに触ってきた にて「1チップMSX」の体験記事を書きましたのでどうぞご覧下さい。
【10.31更新】ASCII24のニュースを受け、Slashdot Japan と MSX Resource Center にも記事が載りました。 各地の反応や如何に!?
妄想膨らみっぱなしの1チップMSX開発基板
今回出展された1チップMSXの基板は、VHDLというハードウェア記述言語を用いてソフトウェア化されたハードウェア情報を書き込むFPGA、メモリ、入出力端子のみの構成でMSX1のすべての機能+αを実現した、たいへん意欲的な内容となっています。
ハードウェアを構築するために最低限必要な部品はたったこれだけ。
- FPGA Cyclone EP1C12Q240C8
- コンフィグROM EPCS4
- 32MB SDRAM
MSXらしさを強調する入出力端子は以下の通り。
- MSXカートリッジスロット×2
- SDカードスロット
- PS/2キーボード端子
- 15ピン VGA端子
- ビデオ(S端子)
- オーディオ端子(ステレオ)
- USB端子×2
ATARI端子とUSB端子が同居する という、まさかの構成!昭和と平成の端子がものの見事にごちゃ混ぜになっています(今回の展示ではUSB端子は使われていません)。
この基板の核は、やはり自由に書き換えられるFPGAチップにあります。MSX2にアップグレードしたり、MSX1のシステムにVDPだけV9958に差し替えてみたり、更にはMSXですら無い「何か」にすることも可能です。当然、FPGAでPC-8001を作る ような事例にも即対応できるでしょう(端子はMSXだらけですが)し、FPGAをUSBとカートリッジスロットの制御に特化して「MSXゲームリーダー」にしたり、カートリッジ端子から各種センサーを付けて制御したり…アイデア次第でどんな用途にも対応できます(でも自分でVHDLを組んで下さい)。
1チップMSXの製品化の時期や価格は未定、とのこと。今回の基板のスペックより低くして価格を抑えた形になる可能性も。アスキー では書籍流通で来年3月くらいの発売を予定しているって…まさか Mマガ3号 が来年3月発行ってことになったんですか!?(^_^;
1チップMSX本体と書籍(開発機材とマニュアル含む)のセットで1万円くらいなら、僕は即買しますね。無理かな…!?
時代は流れたんだなぁ…
「MSX電遊ランド2000」の開催から4年が経ちました。そのときの模様 をいま改めて見ると、2000年の時点でPLDによるMSXの復刻作業は既に始まっていたものの、当時はPLDの集積規模が足りず、MSXに付随する他のICを再現するに留まっています。あれから4年の間に、ITの分野は想像を超える早さで駆け抜けてきたことを痛感させられます。アルテラ よりライセンスフリーで公開されているソフトウェア開発環境があれば、MSX1が実現可能になったなんて…良い世の中になったもんですよ。
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